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投稿一覧
函館ストーリー「去年と違う夏」
2025-08-16
函館の湯の川温泉にあるホテルは、海のそばに建っていた。 夜には、漁り火が美しく灯るという… 去年は、誰かといた夏だった。 同じ海辺で、同じ波の音を聞きながら、笑い合った。 でも今年は、僕ひと…
函館ストーリー「去年のサンダルを捨てて、今年の夏を歩き出す」
2025-08-16
去年の夏、あの人がプレゼントしてくれたサンダルがある。 結局、一度しか履かないまま彼とは別れ、そして夏も終わった。 そのとき撮った写真と一緒に、箱にしまわれたままのサンダルが、今日ふと出てきた。 一年前…
函館ストーリー「あなたに背を向けた、夏の午後」
2025-08-16
CM やドラマで知られる八幡坂は、今日も観光客で賑わっていた。 そんな場所に、彼は私を連れてきた――別れ話をするために。 私が取り乱さないように、きっと人目のあるこの坂を選んだのだ。 午後の陽射しが石畳…
函館ストーリー「潮風の贈りもの」
2025-07-27
きっと、ベイエリアからやって来るに違いない! 僕は、彼女がやって来るであろう、基坂を見た。 潮風が彼女の足音を、僕が待つ元町公園まで運んできた。 ある晴れた夏の日の午後… 僕は暑い日差しを浴びて、一ヵ月ぶりに彼女と…
函館ストーリー「夢の地図」
2025-07-27
函館山から見る夜景は あまりにも美しく言葉が出なかった… 私は彼の手を思わずギュッ!と握り締めた ふと空を見上げた 星がよく見えなかった 輝く星より夜景の美しさが勝っていた! 私たちは指で望遠鏡を作り 夏の夜空に夢の地…
函館ストーリー「潮風のフリーウェイ」
2025-07-04
街には、北北西の風が吹いている。 元町にある、カトリック元町教会の風見鶏は函館山を指したままだ。 やがて海風は、潮の香りとパンの焼く匂いを運んでくれた。 僕は、彼女が昨日忘れていったチェックのシャツを洗っていた。 …
函館ストーリー「目印は、ハートの文字」
2025-06-25
函館山の伝説を確かめに 僕たちはロープウェイで山頂へと上った。 きらめく夜景に「ハート」という文字が浮かび上がるという。 その「ハート」を見つけることが出来たら その恋は永遠となるそうだ。 夕暮れから だんだんと地…
函館ストーリー「マーガレットの花言葉」
2025-06-02
遅咲きの桜が散り、函館にもようやく本格的な春が来た。 そして花屋の店先には、マーガレットが目立つようになる。 「私、マーガレットが大好きなの!もし 私と別れても、私の好きなマーガレットの花は、嫌いにならないでね」 …
函館ストーリー「シトロエン 2CV」
2025-05-31
元町にパンを買いに出掛けた。 「天然酵母パン tombolo(トンボロ)」は、 大正10年建築の和洋折衷様式で、 函館の伝統的建造物に指定されている建物で、元町の異国情緒が漂う雰囲気に溶け込んでいる。 「ハード系パ…
函館ストーリー「0.3ミリのペンで書いた、メッセージ」
2025-05-24
オープンカフェのテーブルでアイスコーヒーを飲んだ。 1年ぶりに届いた手紙を読みながら… 函館発のメッセージは3枚の手紙と1枚の写真だった。 写真には、 コットンキャンディーのような雲が輝いている。 しばらくためらって、…