函館ストーリー〈春〉


ホワイトデーの日に、郵便受けに大きな封筒があった。

中には、大きなロイズの板チョコと1枚のメモが入っている。


「函館の金森赤レンガ倉庫で、見つけた!」

メモには、たったひと言だけ。


遠距離恋愛中の彼とは、いつもこんな感じで、LINEも電話もほとんど無い。
自分でも、彼のどこが良いのか?よく分からない。

彼に、お礼の手紙を書くことにした。

「でも、便箋なんて無いし、わざわざ買いに行くのもイヤだな」


迷ったあげく、レターペーパーは板チョコの包装紙にした。