彼女と初めて訪れた函館の街は、潮風がとても心地よかった。

僕たちは迷うことなく、ロープウェイで函館山へと登った。

 

函館は夜景が有名だけれど、昼の景色にはまた違った素晴らしさがある。

よく夜景を宝石箱に例えるけれど── 昼の景色は、一つにつながる地上の銀河のようにも見えた。

 

青空と地上の星の狭間で、僕たちの夏の恋が、静かに始まった。

 

 

あとがき:昼の銀河に恋を乗せて

函館の昼景は、夜とは違う広がりと静けさを持っています。

この物語は、初めての街で感じた潮風と光、そして恋の始まりを描いたものです。

地上の銀河のような街並みの中で、二人の時間がそっと動き出す──そんな瞬間が、夏の函館にはよく似合います。

読んでくださった方の中にも、そんな始まりの記憶が重なっていたら嬉しく思います。