函館ストーリー「北北西の風とチェックのシャツ」
街には、北北西の風が吹いている。
元町にあるカトリック元町教会の風見鶏は、函館山を指したままだ。
やがて海風は、潮の香りとパンの焼ける匂いを運んできた。
僕は、彼女が昨日忘れていったチェックのシャツを洗っていた。
暑い日差しを受けたそのシャツは、翌々日、彼女のもとへと届いた。
「凪紗へ。天気が良かったので洗っておいたよ!」
彼の癖のある字で書かれたメモが、胸ポケットにそっと入っていた。
彼女は、宅配便で届いたチェックのシャツに着替えると、クーラーをオフにして── 窓を開け、扇風機をオンにした。
やがて彼女は、ソファでうとうと。
扇風機のおかげで、潮風に吹かれた夢を見ることができた。
夢の中で、彼女は潮風とパンの焼ける匂いを感じていた。
部屋の中では、函館の北北西の風が、優しくそよいでいるようだった。
「恋には、距離の長さは関係ない!」
夢の中で、彼がそう言って微笑んでいる。
それは、遠距離恋愛の寂しさを、素敵に変えた瞬間だった。
あとがき:風と匂いの記憶
函館の夏は、風と匂いが記憶を運んでくれます。
この物語は、チェックのシャツと潮風を通して、離れていてもつながっている二人の心を描いたものです。
パンの焼ける匂いも、風見鶏の向きも、すべてが静かに彼女の部屋へ届いていました。
読んでくださった方の中にも、そんな風がそっと吹いていたら嬉しく思います。

函館の風や香りを、
返信削除眠りながら感じている
そして、彼が洗ってくれた
シャツを着て、、、
ふふふ
穏やかなんだけど
キュンとする
オトナなストーリーだよね^^
ぴいなつちゃん
返信削除素敵なコメントをありがとう!
「凪紗」という名前を考えてくれたね(^o^)
名前が入って、より良い物語になったと思う。
この作品は、自分でもとても気に入っている!