オープンカフェのテーブルで、アイスコーヒーを飲んだ。

一年ぶりに届いた手紙を、そっと読みながら──

 

函館からのメッセージは、三枚の手紙と一枚の写真だった。

写真には、コットンキャンディーのような雲が、春の光を受けて輝いていた。

 

しばらくためらってから、私は手紙を書いた。

函館へ向けたメッセージは、0.3ミリのペンで、静かに綴った。



あとがき:記憶と季節の交差点にて

春の函館は、記憶の中で静かに息づいています。

この短い物語は、手紙という小さな窓から、季節の光と心の揺らぎを覗いたものです。

写真に映る雲も、ペン先に滲む言葉も、すべてが「今ではないどこか」と「今ここ」の間に浮かんでいるようにしました。

読んでくださった方の中にも、そんな風景がそっと重なっていたら嬉しく思います。