函館ストーリー「白い夜のハート」
函館山の伝説を確かめに、僕たちはロープウェイで山頂へと向かった。
きらめく夜景に「ハート」という文字が浮かび上がるという。
その「ハート」を見つけることができたら、その恋は永遠になるそうだ。
夕暮れから、地上の星のような灯りが少しずつ増してくる。
あちこちから歓声が上がり、二人の心にも何かが輝いていた。
「見て!」
突然、Tシャツの裾をつかまれた。
彼女が指差す先には、確かに「ハート」の文字があった。
夕立にはしゃぐ子どものように、眩しい笑顔の彼女がいる。
心から彼女のことが好きだと思った。
僕は、彼女の手を握った。
それに応えるように、彼女も僕の手を強く握り返してきた。
函館山の山頂は、どこまでも白かった。
函館の夏の夜は、夜霧が出るので、すべてが白く包まれるのだ。
僕たちは、お互いに頷くと、短いキスを交わした。
あとがき:白い夜に浮かぶもの
函館の夏の夜は、霧に包まれて、すべてが少しだけ夢のようになります。
この物語は、夜景に浮かぶ「ハート」と、恋の記憶が交差する瞬間を描いたものです。
眩しい笑顔も、握り返す手も、白い霧の中で静かに輝いています。
読んでくださった方の心にも、そんな夜の光がそっと届いていたら嬉しく思います。

かわいいなぁ
返信削除手を強く握りかえす
ここがお気に入り^^
ハートってかいてあるの
いつか、たしかめにいかなきゃ!
ぴいなつちゃん
返信削除コレは動画として発表された物語。
原稿が出てきたので、原作に少し手を加えて掲載しました。
ハートの文字、ぜひ確かめて下さい!