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2025
函館ストーリー「潮風のフリーウェイ」
2025-07-04
街には、北北西の風が吹いている。 元町にある、カトリック元町教会の風見鶏は函館山を指したままだ。 やがて海風は、潮の香りとパンの焼く匂いを運んでくれた。 僕は、彼女が昨日忘れていったチェックのシャツを洗っていた。 …
函館ストーリー「目印は、ハートの文字」
2025-06-25
函館山の伝説を確かめに 僕たちはロープウェイで山頂へと上った。 きらめく夜景に「ハート」という文字が浮かび上がるという。 その「ハート」を見つけることが出来たら その恋は永遠となるそうだ。 夕暮れから だんだんと地…
函館ストーリー「マーガレットの花言葉」
2025-06-02
遅咲きの桜が散り、函館にもようやく本格的な春が来た。 そして花屋の店先には、マーガレットが目立つようになる。 「私、マーガレットが大好きなの!もし 私と別れても、私の好きなマーガレットの花は、嫌いにならないでね」 …
函館ストーリー「シトロエン 2CV」
2025-05-31
元町にパンを買いに出掛けた。 「天然酵母パン tombolo(トンボロ)」は、 大正10年建築の和洋折衷様式で、 函館の伝統的建造物に指定されている建物で、元町の異国情緒が漂う雰囲気に溶け込んでいる。 「ハード系パ…
函館ストーリー「0.3ミリのペンで書いた、メッセージ」
2025-05-24
オープンカフェのテーブルでアイスコーヒーを飲んだ。 1年ぶりに届いた手紙を読みながら… 函館発のメッセージは3枚の手紙と1枚の写真だった。 写真には、 コットンキャンディーのような雲が輝いている。 しばらくためらって、…
函館ストーリー「クロワッサンの美味しい街」
2025-05-20
クロワッサンが、好きだ! 焼きたてのクロワッサンとカリカリに焼いたベーコン・エッグ。 そして、熱いコーヒー。 これが、僕の旅先での朝食だった… ホテルの窓から、ベイエリアが見えていた。 赤レンガ倉庫が朝日に照らされ、函…
函館ストーリー「桜前線、北上中」
2025-05-01
南風が北国へと春を運ぶ! 都会の桜は散り、いつもの喧騒が戻ってきた。 テレビのニュースで北海道で桜が開花したとやっていた… 「帰ろうかな?あの坂の街へ!」 何気なく、一人つぶやいてみた。 東京での生活が自分には合わ…
ぴいなつ作:函館ストーリー「春爛漫、おとな遠足」
2025-04-28
函館ストーリー「春爛漫、おとな遠足」 作:ぴいなつ 年々、涼しいはずの北海道の夏は最高気温が30℃を超える日も多く、涼を求めてやってくる観光客は思いがけない暑さに参っていた。 それなら冬は雪が少なく快適に過ごせるだ…
函館ストーリー「第二ボタンの行方」
2025-03-12
函館ストーリー〈春〉 今年の春は早くて、GW前に桜が咲いた。 ある晴れた日、彼女は冬物のコートを風に干しブラッシングをした。 お気に入りのカシミアのコートだ。 特に気に入っているのが、第二ボタン。 他のボタンとは違って…
函館ストーリー「彼女とロシアンティー」
2025-03-09
函館ストーリー〈春〉 僕たちは魚見坂を上り、カフェテリア・モーリエに立ち寄った。 大きな窓から、キラキラと青く輝く早春の海が、眼下に広がっている。 ここはロシア料理の店で、僕たちはピロシキとロシアンティーをオーダーした…
函館ストーリー「春風がおしえてくれてこと」
2025-03-03
函館ストーリー〈春〉 元町カトリック教会の風見鶏は北北西を向いたまま、動かなかった。 まどろみの午後、かすかな春風が南西に向かって吹き、僕につぶやく。 「彼女が、元町茶寮で待っているよ」 僕は、大三坂を上る足を進め、…
函館ストーリー「スイート・レター」
2025-03-02
函館ストーリー〈春〉 ホワイトデーの日に、郵便受けに大きな封筒があった。 中には、大きなロイズの板チョコと1枚のメモが入っている。 「函館の金森赤レンガ倉庫で、見つけた!」 メモには、たったひと言だけ。 遠距離恋愛中…
函館ストーリー「キミは、とても…」
2025-03-01
函館ストーリー〈春〉 今日、久しぶりに彼女と会う。 前の晩に、僕は彼女の夢を見た! 春の明け方に見る夢は、正夢になるのだという。 夢の中で僕は、彼女にプロポーズする直前に、目が覚めたのだった。 待合わせの旧イギリス領…